2019年04月15日

口頭弁論が、もう今日になりました。

3/25に還暦を迎えました。皆さんから温かな言葉やプレゼントをいただいて感謝しています。
年度末年度始めに当たり、多忙な日々を過ごしていて、お礼が大変遅くなりました。

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花束やペアもののプレゼント

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還暦だけに赤いものもありました。

今年は、すべての人に結婚の自由を訴訟(同性婚訴訟)の原告になるという、新たな一歩を踏み出しました。折角この世に生を受けて、ゲイとして生まれたこと。糖尿病になったこと。エイズを発症したこと。HIV 陽性者であること。人工透析を受けていること。そのすべてに感謝しています。

お陰さまで、今は幸せな毎日を過ごせていること、それは貴重なことだと思っています。

でもここにたどり着くまでには、苦しんだことも、悲しいことも、悔しい思いも、死にたい気持ちも、いろいろと経験しました。今、ここに生きていることは、奇跡なんだと思います。

ひとつ後悔が残るとしたら、若い頃に、誰がなんと言おうと、自分らしく、自分のやりたいことを選択していたら、もっと違う人生があったかもしれないということです。

自分がゲイとして生まれたことで、長い間、いけないことだと、恥ずかしいことだと、否定的な感情と共に過ごしてきました。次の世代の人たちには、そんな思いをして欲しくない。そのために何が必要か、やはり法律や社会制度の中で、認められることではないかと思っています。

もうひとつは、根強く残るHIV / エイズへの差別・偏見です。診療拒否、施設への入所拒否、会社でも、学校でも、地域でも、理解は進んでいません。僕が原告として発言する、その裏には、必ずHIV のことがあります。HIV 陽性者のことをすこしでも理解してほしい。そんな気持ちを持って望みます。

表だって応援しなくてもいいです。心の中でそっと応援していただければ、その思いはきっと大きな力になりますから。

明日の9:30から傍聴券の配布があります。たぶん抽選になると思います。
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2019年03月04日

190304「あの日の後悔と親孝行」

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あさイチに安田顕さんが出ていて、最新作「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」について話していた。タイトルが衝撃的で、少し目をそむけたくなった。が、タイトルに反して、深い物語だと感じ、興味がわいた。倍賞美津子さんの母親役も見てみたい。紹介映像だけで、泣けてきた。

安田さんが話していたのは、「母親は、子供が生まれてきただけで、それが親孝行と言うが、自分は何もしていない」みたいな文脈だったと思う。

僕の母は、乳がんを患って、5年生存説をクリアして、通院間隔を空けた後、肺がんが再発して、闘病の末、54歳という若さで他界した。今僕はその年齢を超えたが、とても早い死は無念だったろうなと思う。一番下の妹がまだ成人していなかった。

乳がんの手術を受けることになった時、僕は大学生で、卒業間近だった。8月の手術だったと思う。丁度、学生時代最後の夏休み。友人と北海道旅行に行くつもりで、計画を立てていた。母のことがわかった時は、一大事だと感じて、旅行に行かないと宣言したものの、心の中では北海道旅行に惹かれている自分がいた。出発予定日が近づいたとき、母に「こんな機会は最後かもしれない」と泣きついて、結局行くことにした。親孝行どころか、そんな時にまで、母に甘えていた。片胸の全摘だった。後で聞いたことだが、あんなに強い母が、手術前夜、ベッドの中で泣いたそうだ。そんな時にそばにいなかった。

手術が無事に終わって、数年たった頃、母の口からこんな言葉を聞いた。「いく、手術の後の傷口を見るか」慌てて「見たくない」と答えた。あの時の母は、どんな思いでその言葉をかけたのだろう。僕は意気地なしで、傷口を見ることが怖かった。還暦が近くなった今なら、見せてもらうだろうし、その傷口にそっと手を当てたり、頬を寄せるかもしれない。僕自身もいろいろな経験をして、少しは相手の痛みをわかることができるようになった。あの時の母は、僕にその姿のままを受け入れて欲しかったのだろうと思う。けれど、それを無下に断った。でも冷静に考えると、あの当時の僕では、その母の痛みを受け止めきれなかっただろう。見た後で、母が一番悲しむ言葉や態度を見せてしまったかもしれない。

しかし母が亡くなった後、僕はずっと、あの日、母の無くなった片胸を見なかったことを後悔していた。自分が成長するに従って、その後悔は大きくなっていたような気がした。15年くらい前に知り合った女性が、僕の母と同じ頃に、同じ病院で手術を受けていたことを聞いた。そして僕の後悔を話した。その方の言葉が心にしみた。
「いくさん、それで良かったんじゃない?見なかったことがお母さんへの優しさだったんじゃない。お母さんも息子に傷口を見られるよりも、綺麗なままのお母さんを覚えていてもらった方がいいと、私は思うわ」

何だか心の中にわだかまっていた、つらい思いがスーッと楽になった。でもあの時は、本当に怖がっていただけなので、偉そうなことは言えないが、もしも母がそう思ってくれていたなら、それでよかったのかもしれないと思った。僕が母にできた親孝行は、海外旅行のお土産に、黒真珠を買ってきたことくらい。母は喜んでくれていたけれど、今でも生きていたら、本当の意味での親孝行ができたと思う。
それは、僕のゲイがばれたとき「お母さんの育て方が悪かったの?それとも糖尿病が影響しているの?」という母の自責の言葉に、「ただたまたま好きになった人が、男性だっただけだよ」とごまかした。今なら「お母さんは何も悪くない。そして僕も悪くない。ただ僕がゲイだったというだけだよ」ときちんと話せる。「お母さん、僕をゲイに生んでくれてありがとう。素敵なパートナーに恵まれて、本当に幸せだよ」と天国に向かってつぶやいた。
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2019年01月06日

190104「婚姻届提出」

5年前に友人の同性カップルが「婚姻届」を役所に提出した。
その勇気ある行動に励まされたし、僕らもいつかしたいと思っていた。

2019年1月4日、よしとふたりで婚姻届を提出することができた。
今の日本では、同性婚が認められていない。
一部の自治体で、パートナーシップとして認める動きがあるけれど、
法的な拘束力があるものではない。

今年の2月中旬に、同性婚ができないことは、
「日本国憲法第十四条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地に
より、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
に反すのではないかという、国の賠償責任を問う裁判が各地で始まる。
いろいろと悩んだけれど、僕らは集団訴訟の原告の10組のうちの1組として、立ち上がることにした。

NHKの取材が入ったため、事前に同性の僕らが婚姻届を提出することは役所に知らされていたが、
当日の窓口の係員の対応は、素晴らしかった。
先ずは、婚姻届にサッと目を通し、必要事項をチェックした上で、
免許証での本人確認のため、相方にマスクを外すように声をかけた。そして呼び出されるまでしばらく待機。

長い待ち時間が続く。僕の心の中は、不安と期待が入り混じっていた。
あまりに長いので、「もしかして認めますって、言われたりして」と、
そんなことは決してないのに、そばにいる人たちと話していたりもした。

窓口に呼びだされた。係員は、不受理の理由について説明してくれた。
書類上に不備があったので、それは修正することにした。
それで不受理になる理由が、婚姻届が同性カップルによって提出されたことだけとなった。
区役所としての判断を添え、郵送されるとのこと。区長印も押されているという。

続いて、係員が「婚姻届を提出された証として、結婚記念カードを発行できますが、どうなさいますか」と。
僕は「いただけるのですか。ぜひお願いします」と答えた。
そのカードには「ご結婚おめでとうございます。」の文字があり、
婚姻届提出日 ’19.1.-4 ○○区 というスタンプが押されていた。
係員の目は、やさしく微笑んでいて、ふたりの顔をしっかりと見ていた。
その目の奥に、今の日本国憲法の判断では、婚姻届は不受理になりますが、
私はあなた方を祝福しています。精一杯の気持ちですと書いてあったように感じた。ウルッとした。

不受理って、大きな壁で、冷たい響きがしていたが、
実は現場サイドでは、同性の婚姻について様々な意見があるのかもしれない。
今回、提出してみて感じたことは、婚姻届って、こういうことなんだ。
社会で認められることって、大切だな。結婚記念カードだけでもこんなに幸せになれるのだから、
国から本当に婚姻を認められたら、きっと号泣してしまうに違いない。
他の9組も婚姻届を提出すると思う。同性という理由で婚姻ができない不平等が、社会の問題になれば嬉しい。
5年前のふたりも同じような気持ちだったのだろうか。やっと続くことができた。

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