2014年08月23日

カミングアウト

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悩み事を聞いてもらうために、友人宅に遊びに行った。
他愛もない話もいっぱいしたが、主に人間関係の話。
話しているうちに、相手よりも僕自身の問題がクローズアップされた。
やはり感情を扱うのは難しい。

学生時代、就職に迷った時、僕はこう考えた。
大好きなことを仕事にして、苦しんでしまうのは、したくない。
あくまでも趣味に残しておいて、楽しむ心を忘れないでいたい…と。
でもその答えが良かったのかは、55歳を過ぎてもわからない。
好きなことで苦しむ方が、僕は性分に合っていたのかも…と思う。

本当はしたくない仕事でも、対価をもらっているからする。
十分な対価が得られれば、たぶん問題はない。
十分な対価が得られないとしても、環境が働きやすく、
自分のしたい事だったら耐えられる。
「人が離職を決めるのは、2つ以上の条件が合わない時」そう聞いた。
アルコールなしで、そんなことを話し合っていた。

相方が来るころには、近所の洒落たお店に移って、
3人で軽く飲みながら(車だから僕はソフトのみ…)、
楽しい時間を過ごした。高級住宅街の一角。
昼間、夏の暑苦しさがあんなにあったのに、夕方は涼しい風がそよいでいた。
オープンカフェで過ごす時間は、リゾートのそれのようで、
とても至福な時間に感じた。IMG_0008 (2).JPG
途中で来店した中年の夫婦と犬。
かまっているうちに、あれこれと会話になる。
「みなさんはどういうご関係ですか?」
「ご結婚はされていますか?」
「犬はお好きですか?飼えばいいのに…」
良くあるありきたりの風景である。
セクシュアリティなど、話してしまっても大丈夫な気はしたが、
僕らの地元ではなく、友人の地元。
受け入れられるとは限らないから、
友人が今後どこかで会ってしまうことを考えると、
本当のことを口ごもった。

帰り道、友人とそのことを話す。
同じことを考えていた。
カミングアウトは難しい。相手、環境、仲間のこと…。
全ての要素がまとまらないと、簡単にはできない。
地元でふたりきりだったら、たぶんカミングアウトしていた。
カミングアウトではなく、自然体で話せる日本にしたい。
posted by いく at 03:28| Comment(0) | +@…陽性者の視点から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月29日

献血からのHIV感染が起きた問題

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献血からの血液で、HIV感染が起こってしまったとの報道。
検査をしている専門家なら、そのリスクがあることは当然わかっている。
ウィルスに感染してから、血中に溢れ出すまでに一定の時間がかかるため、
ウィンドウピリオドという時期があり、今の検査ではわからない時期がある。
またその検査は、ウィンドウピリオドを満たしていても、
ごく少量のウィルスは測れないのである。
日赤は精度を20倍に高めると言っているが、
ウィンドウピリオドがなくなるわけでも、
限界値がなくなるわけでもないのだから、コストが増すだけなのだ。
コストをかけても、すり抜けはまたいつか起こってしまう。
技術的に無理なことを無理じゃないと言って、「安全だ」と言いたがる。
逆にどうしても避けられないリスクを正確に示さない。
原発の問題で、安全神話を作り、危険な情報が出ていても、
国民に知らせなかったことに似ている。
たぶん多くの国民は、パニックを起こさないのに、
国民に判断力がないと、国や行政に思われている。

マスコミの情報の流し方も気に入らない。
同性間接触をしていたことを言わずに、嘘をついたことで感染が起こったように、
個人に責任をなすりつけているように見える。
そもそも問診の時に、どうして「同性間」「異性間」が必要なのだろう。
確かに日本では、同性間での性的接触で感染が広まっている。
しかし異性間でも感染する感染症である。
問診時に必要なのは、同性間接触や不特定多数の接触を聞くのでなく、
オーラルセックスを含めた性接触で、正確に予防ができたかどうかの確認である。

もうひとつの疑問は、感染がわかった方のウィルスのタイプまで一致したのだろうか?
その方は、輸血以外のルートからの感染はありえない人なのだろうか?
50代以降で発症がわかる人が増えているという報告が出たばかり。
もしかすると今見えているルートで、感染したのではないかもしれない。

「献血」は安全に正しく運営管理しているが、
利用者が嘘をついたから、すり抜けが起こったという文面。
それでは何故2月の時点の血液でのHIV感染を見逃したのか?
10月の血液は、感染がわかって使わなかったと書いてある。
遡って2月の血液を調べたら、感染がわかったわけで…技術的に無理だったのである。
日赤は以下のように言うべきだったと、僕は考える。
「献血の血液から、すり抜けが起こり、新たな感染を起こしてしまったことは、申し訳なく思ってます。
しかし検査に限界があり、できる限りすり抜けが起こらないように、検査の充実を図ってまいりますが、
HIVだけでなく、血液で感染する感染症の疑いがある方は、献血はお控えいただきますよう、お願いいた
します。その場でお話しできない場合は、コールバック制度で血液を破棄できますので、ご利用ください」
そしてマスコミが、盛んに報道すべきなのは、
HIVは早期発見すれば、治療ができ、寿命を全うできるという正しい情報の提供。
それが過去にエイズ・パニックを引き起こした責任だと僕は思う。
posted by いく at 03:34| Comment(0) | +@…陽性者の視点から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月27日

「あなたを一生守ります」と告白された。

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虫歯の治療が殆ど終わった。
残っているのは上の親不知2本。
虫歯は始まっていて、いずれ酷くなる可能性もあるので、抜歯を検討中。
今、HIVの主治医とやりとりをしてくれている。

今日、待合いに着いたら、
僕が紹介した友人が丁度、会計をしていた。軽い会話を交わす。
呼ばれたので、僕は診察台へ。
最終的なチェックの予定。

磨き残しをや歯の際に残っている汚れを、助手の方が丁寧に取ってくれる。
その後、例の医師が、
いつものように状態を詳しく説明してくれた。
そこで「あ、ご紹介ありがとうございました」と笑顔でお礼を言われた。
僕も陽性者、紹介した友人も陽性者。
とても技術があって、医師が素敵なので、
歯のことで悩んでいた友人に「行った方がいいよ」と強く勧めた。
血液で感染する病気を何も持ってない人より、
ひと手間かけているだろうな…と思っている僕は、
その言葉がとても自然で、嬉しかった。

「(歯ブラシの使い方を)もうしましたっけ?」と聞かれた。
歯ブラシの持ち方は、他の歯科でも聞いたことがあったが、
「まだです」と答え、この医師の説明をきちんと聞いてみたいと思った。
模型を使いながらの説明だったが、全周の内側、外側の磨き方や
歯ブラシの角度、動かし方まで丁寧に話してくれた。
歯間ブラシのサイズ、歯間に入れる角度まで。
ここまで説明されたのは初めて。
一通り終わると、「では3週間後のお越しください」
「磨き残しがないか、チェックをしましょう」
「歯ブラシを持って来てください。赤く染めるやつでやってみますか?」
勿論「はい」と答えた。子供の頃にみんなでやった記憶が戻ってくる。懐かしい。

今まで通っていた歯科はどこも、治療時間を引き伸ばし、
悪いところの治療が終わると、「今日で終了です」と言った。
でもこの医師は「定期的にメンテナンスをしていきましょう」と言う。
治療が終わっても、一緒に歯の健康を守ってくれるのだと気づく。

今の医師がどんどん虫歯を直していくことに、
経営的にはどうなのだろう?と、以前友人とも話していた。
そうではなかった。最後まで面倒を見てくれるのだ。
これが本当の良い歯科医なのだと感じた。
歯のホームドクターができた。
posted by いく at 03:38| Comment(0) | +@…陽性者の視点から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする